NHKとの団体交渉【春闘2018②】

2018年05月28日 23:33
カテゴリ: NHK関連2018

5月21日、NHK高知放送局内会議室にて、春闘団交2回目を行いました。出席者は、本組合役員、高知県労連・牧書記長が参加しました。

今回NHKに対して、①現行特別指導実施要領で、地域スタッフの業績が回復した例は、ほとんどありません。協会は、早急に地域スタッフへの指導方法を見直してください。②メイト・委託所スタッフへの健康診断実施。③日本放送協会高知放送局内1階東出入り口にある日本放送協会労働組合掲示板と同様、本組合にも同じ場所に本組合専用掲示板を設置してください。の3項目について再度交渉が行いました。

交渉を行う事前に、過去のデータ、グラフなど作成したものを、モニター若しくはパネルを用いた交渉を行いたいとNHKに申し出ました。しかし、「口頭で理解できます」と断られました。組合としては、数字に照らし合わせ、視覚を用いて丁寧に説明するつもりだったので、残念な返答でした。

①地域スタッフに対する特別指導の見直し

業績回復を目的とした適正な指導であり、見直す考えはないとの回答。まず”特別指導”を簡単に説明します。NHKが求める業績に回復させるため、対象者は、NHK職員との帯同指導や、来局して指導を受け、一般指導に戻すことが本来の目的です。しかし実態は、口頭注意、分割受持ち区交付による制限、受持ち区削減などステップを踏んで委託解約へと導く手段となっています。

年々、地域スタッフが減少する背景には、地域スタッフが如何に達成困難な”ノルマ”を強いられているか想像がつくと思います。ちなみに高知県の地域スタッフで、”特別指導”に陥り、一般指導に戻って今日にまで働いている者は”0名”です。NHKは全国で、特別指導から一般指導に戻ったスタッフが一定数存在すると反論。組合から一定数とは具体的に何名か?質問したが、終始一定数いるとの回答。おおよその数字も答えれないのは、わずかな者しかいないのでしょう。パワハラの中には、業務上明らかに達成困難な”ノルマ”を課すこともパワハラと定義されています。

ここで言う”ノルマ”とは、NHKが独自で解釈する”目標”を指します。”ノルマ”と”目標”は混同されがちですが、全く意味も目的も異なります。”ノルマ”とは他者から割り当てられ、半ば強制的に与えられる”都合”であり、「質」よりも「量」が優先されます。”目標”とは他者から強制されるものではなく、自己の達成を実現するため設定する”地点”です。故に団体交渉の席では”目標”ではなく、現在の実態に即した”ノルマ”という言葉を用いています。

この意図的に地域スタッフを失業に追いやるような”ノルマ”や”特別指導”要領に関しては、早期に見直すよう、改善要求を続けていく考えです。

②メイト・委託書スタッフへの健康診断実施

各自治体で無料の健康診断を実施していますので、そこで健診を受けてくださいとの回答。また、健診に要する経費の支出は、視聴者の理解を得られないとの回答。上田会長が唱えたNHKで働く全ての人の命と健康を最優先に考える「NHK働き方改革」。その理念とかけ離れ、それに使われる経費が、視聴者から反感があるとの根拠を示さず、誠意に欠ける回答でした。NHK業務委託の地域スタッフは、NHKが費用を負担し、毎年健康診断を受けています。同じ業務委託者であるメイト、委託所スタッフも、NHKが負担する健診が実現するよう、要求を継続する考えです。

③NHK高知局内1階東出入り口にある日放労働掲示板と同じ場所に本組合掲示板設置

今回は交渉前に、高知県労連書記長に本組合掲示板がどこにあり、どんな状態であるか案内しました。営業部内の扉を少しの間だけ開けてもらい、一般通路から現在設置している掲示板を目視だけしていただきました。その後、NHKからこっぴどく叱られました。考えてみたら当たり前です。視聴者の情報が集まる門外不出の営業部は、NHK関係者以外の立ち入りは言うまでもなく、目視することすら厳しく制限されています。

団体交渉中の時系列に戻します。NHKからは、営業部内に日放労、N集労、NHKよさこい労連の掲示板を設置しているので便宜供与の差別はしていないと従来通りの回答。本組合はNHK以外の方も含まれる労組であり、委託者のみで組織された労組ではありません。また、上記の通り、門外不出の場所に掲示板を設置されても、NHK以外の組合員が閲覧することは困難です。本組合の掲示板は、誰でも閲覧できる日放労掲示板とは異なる場所にあり、便宜供与が公平中立ではないと説明しました。”便宜供与の差別”とは何か?判例を用いて解説します。
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【参考判例】日産自動車〔組合事務所〕事件・最二小判昭62.5.8(判時1247号131頁)

「使用者の中立保持義務は、組合事務所等の貸与といういわゆる便宜供与の場面においても異なるものではなく、組合事務所等が組合にとってその活動上重要な意味を持つことからすると。使用者が、一方の組合に組合事務所等を貸与しておきながら、他方の組合に対して一切貸与を拒否することは、そのように両組合に対する取扱いを異にする合理的な理由が存在しない限り、他方の組合の活動力を低下させその弱体化を図ろうとする意図を推認させるものとして、労働組合法7条3号の不当労働行為に該当すると解するのが相当である。」

要するに、労働組合の大小によって、一方だけ便宜供与の差別は不当労働行為になります。この掲示板問題については、日本全体で蔓延っている非正規差別にも関わることです。問題解決に向かうため、今後も話し合いを続ける予定です。

今回、春闘の妥結判断について、6月1日臨時大会にて組合員と協議し、県労連の助言を仰いでNHKに返事する予定です。

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