県労連機関紙

友好団体高知県労連の情宣

8月機関紙

事実に勝る説得力なし―暮らしと労働を考える

【1. 最低生計費調査が示した「普通に暮らすこと」の重さ】

 今回の最低生計費試算調査で、2021年から2026年にかけて生活に必要な費用が大きく上昇していることが示された。とりわけ食費は125.6%、教養・娯楽費は122.9%となっており、物価高騰が日々の暮らしを直撃していることが数字ではっきり見える。高知市で一人暮らしをする25歳の若者が普通に生活するためには、月額約29万円、年額約350万円が必要との試算は重い。これは「ぜいたくをするための金額」ではなく、人間らしく生活し、働き続けるために必要な水準である。

【2. 最低賃金は「払える額」ではなく「暮らせる額」から考えるべき】

 最低賃金の議論では、企業の支払い能力が強調されることが多い。しかし本来、最低賃金は労働者が生活できる賃金でなければ意味がない。今回の調査結果と現在の最低賃金との間には、依然として大きな隔たりがある。物価だけが上がり、賃金が追いつかなければ、働いても生活が苦しいという状況は改善されない。最低賃金の大幅な引き上げと同時に、中小企業への社会保険料負担軽減や直接支援などを国の責任で行う必要がある。

【3. 地方だから賃金が安くてよい時代ではない】

 食料品や光熱費、通信費などは、高知だから特別に安いわけではない。むしろ自動車が生活に欠かせない地域では、都市部とは違った負担もある。「地方だから最低賃金が低くても仕方ない」という考え方を変えなければ、若者の県外流出や人手不足はさらに進む。地域経済を守るためにも、全国どこで働いても安心して生活できる賃金水準を目指すことが重要だ。

【4. ハラスメントを個人の問題で終わらせない】

 ハラスメント労働者アンケートの取り組みにも注目したい。職場でのハラスメントは、被害を受けた本人が我慢して終わる問題ではない。声を上げれば不利益を受けるのではないかという不安から、表面化しないケースも多い。だからこそ労働組合が実態を集め、事実を可視化し、職場全体の問題として改善を求めていくことに大きな意味がある。「困ったときに相談できる場所がある」と労働者に知ってもらうことも、組合の大切な役割だ。

【5. 平和と労働者の暮らしは切り離せない】

 原水爆禁止四国大会の記事では、被爆の実相を学び、核兵器のない世界を目指す運動を次世代につなぐ重要性を改めて感じた。戦争によって最も大きな犠牲を強いられるのは、いつの時代も普通に暮らしている市民や労働者である。安心して働き、家族と生活できる社会をつくることと、平和を守る運動は決して別々の課題ではない。

【6. 「数字」と「現場の声」を力に変える労働運動を】

 今回の紙面を通じて感じるのは、最低生計費調査もハラスメント調査も平和運動も、出発点は事実を知ることだということである。事実に勝る説得力はない。数字だけでも、掛け声だけでも社会は動かない。生活実態や職場の声を丁寧に集め、それを要求につなげ、交渉し、社会に発信していく。そこに労働組合の存在意義がある。高知県労連には、働く人の最も身近なところから声を拾い上げ、賃金・雇用・人権・平和を一つの「暮らし」の問題として結びながら、さらに運動を広げていくことを期待したい。

7月機関紙

働く者の命・健康・権利を守るために

【1.労働者の命と健康を守る取り組みについて】
第17回中四国ブロックセミナーが高知で開催され、労働者の命と健康、安全を守るための幅広い学習と交流が行われたことは、大変意義深い取り組みである。働くうえで、賃金や労働時間などの労働条件はもちろん重要であるが、その大前提となるのは、誰もが健康で安心して働き続けられる職場環境である。

職場では、長時間労働や過重労働だけでなく、パワーハラスメントや人間関係による精神的負担など、目に見えにくい問題も存在する。こうした問題を「個人の問題」として抱え込ませるのではなく、職場全体、さらには労働組合として共有し、改善につなげていくことが重要である。

今回のセミナーのように、さまざまな職場の経験や実践を持ち寄り、互いに学び合う機会を積み重ねることで、一つひとつの職場だけでは解決が難しい問題についても、新たな視点や解決への手がかりが得られることを期待する。

【2.安全で安心して働ける職場づくりについて】
労働災害や健康被害は、起きてから対応するのではなく、未然に防ぐことが何より大切である。そのためには、現場で働く労働者自身の声を職場改善に反映させる仕組みが必要である。

日常業務の中で感じる小さな危険や違和感を放置せず、「事故が起きるかもしれない」「この働き方を続ければ健康を損なうかもしれない」という段階で声を上げられる職場環境をつくることが求められる。また、声を上げた労働者が不利益を受けたり、孤立したりすることがあってはならない。

労働組合には、個々の労働者の声を集め、会社に改善を求める重要な役割がある。今回の学習や交流が、それぞれの職場に持ち帰られ、具体的な安全衛生活動や職場改善につながっていくことを期待する。

【3.ストライキ権をはじめとする労働者の権利について】
機関紙では、国際司法裁判所やILOをめぐる動きとともに、ストライキ権など労働者の権利の重要性が取り上げられている。

労働者と使用者の関係では、一人の労働者が会社と対等に交渉することは容易ではない。だからこそ、労働者には団結し、労働組合をつくり、団体交渉を行い、必要に応じて行動する権利がある。これらの権利は、単に制度として存在するだけではなく、実際に行使することによって初めて意味を持つものである。

一方で、ストライキを含む労働者の権利について、社会全体で十分に理解されているとは言えない面もある。労働者がなぜ団結するのか、なぜ団体交渉が必要なのかを広く伝えていくことも、労働組合の重要な役割であると考える。

【4.平和と労働者の暮らしについて】
高知大空襲を風化させないという記事からは、平和の大切さを改めて考えさせられる。戦争によって最も大きな影響を受けるのは、普通に働き、暮らしている市民である。安心して働き、家族と生活し、将来を考えることができる社会は、平和であってこそ成り立つものである。

過去の出来事を単なる歴史として終わらせるのではなく、その経験を次の世代に伝え続けることが重要である。労働運動と平和運動は別々のものではなく、「人間らしく生き、安心して暮らせる社会をつくる」という点で深くつながっていると考える。

【5.今後の労働組合運動への期待】
今回の機関紙を通じて改めて感じるのは、労働組合の活動は、賃金や労働条件の改善だけにとどまらないということである。命と健康を守ること、安全な職場をつくること、労働者の権利を守ること、そして平和な社会を次の世代につなぐことも、労働組合の大切な役割である。

一人ひとりの力には限界がある。しかし、それぞれが抱える問題や思いを持ち寄り、仲間と共有し、団結して行動することで、職場や社会を少しずつ変えていくことはできる。今回紹介された取り組みが、それぞれの組合員にとって、自分たちの職場を改めて見つめ直すきっかけとなり、今後の活動につながっていくことを期待する。

働く者の命と健康、権利、そして平和を守るために、身近な職場から一歩ずつ取り組みを積み重ねていくことが、これからの労働組合運動に求められていると考える。