県労連機関紙

友好団体高知県労連の情宣

6月機関誌

くらし・命・平和を守る叫び 高知県中央メーデー

2025年5月1日、第96回高知県中央メーデーが高知市中央公園にて開催され、500名の労働者・市民が集結した。この集会は、安芸・嶺北・越知・中村といった県内各地のメーデーとあわせ、述べ600名を超える人々が参加する大きな意義を持つものであった。参加者たちは、現代の労働者が直面する課題を共有し、「声を上げ、行動すること」の重要性を再確認したのである。

主催者である岡上委員長の挨拶には、深い危機感と、未来への強い願いが込められていた。2025年春闘では、多くの組合が賃上げを勝ち取る成果を上げたものの、医療・介護分野では依然として厳しい現状が続いているという。とりわけ高知県では、25年ぶりに医療従事者によるストライキ集会が行われ、現場からの切実な訴えが響いた。これは、ただの労使交渉ではない。社会全体の持続可能性と人間の尊厳を問う声である。

医療や介護に従事する者の待遇が向上しなければ、地域の福祉と安全は崩壊する。現場の人々が自らの生活を守るために立ち上がるのは、当然の権利であると同時に、社会全体の未来を守る行動でもある。政府は軍拡よりも、くらしと教育、そして医療福祉に財政を優先的に振り向けるべきである。

また、岡上委員長は国の防衛政策についても警鐘を鳴らした。国際的な緊張が高まる中、日本が軍事拡大の道を進むことに対して、労働者として、また市民として強く反対の意思を表明する必要がある。戦争のない平和な社会を築くためには、軍事に依存するのではなく、対話と福祉、教育を軸とした社会設計が求められる。

若い世代、とりわけ高知県で働き暮らす若者たちにとっても、今回のメーデーの意義は大きい。正社員だけでなく、非正規やフリーランスといった多様な働き方が広がる中で、「ひとりでは変えられない」と感じる若者も多い。しかし、実際には、このようなメーデーの場に集い、声を上げ、仲間と連帯することによって、社会は少しずつ確実に動いてきたのが事実である。

最低賃金の引き上げや処遇改善、長時間労働の是正といった成果も、こうした市民の運動と連帯によって勝ち取られてきた。変化は常に、現場の声から始まっている。今を生きる私たちが、未来をあきらめず、希望をつなぐために何ができるのか。それは、「無力感に負けず、行動を選ぶ」ということに尽きる。

高知の地から発せられたこの声は、小さくとも確かな波紋となって広がっている。政治家からも各党からも連帯のメッセージが寄せられたことは、働く人々の声が無視できない力になっている証である。

今こそ、私たち一人ひとりが、自らの働き方や暮らしを見つめ直し、「もっとこうなってほしい」という思いを言葉にし、行動に移すときである。働く人の尊厳が守られ、すべての人が安心して暮らせる社会をつくるために、声を上げ続けようではないか。

未来は、行動する人の手にある。高知の空の下で上がったその声が、日本中へ、そして世界へと広がっていくことを、心から期待したい。

5月機関紙

未来へ築く団結!!5月1日は第96回メーデー

第96回高知県中央メーデーの開催に際し、その意義と歴史的背景を再認識するとともに、現代社会における労働者の置かれた状況を踏まえ、今後のメーデーに期待される役割について考察する。

◯メーデーの歴史的意義と現代における再評価
「万国の労働者よ、団結せよ」のスローガンが示す通り、メーデーは国際的な労働運動の連帯の象徴である。起源は19世紀末アメリカの8時間労働制を求める闘争に遡り、シカゴのストライキは団結の重要性を世界に示した。

日本の最初のメーデーは1920年、8時間労働制や失業防止などを訴えた。戦前の弾圧と戦後の混乱を経て、メーデーは労働者の権利回復の契機となった。1946年の皇居前広場における50万人の集会は、労働者の解放への強い願いを示す象徴的な出来事であった。

現代において、非正規雇用の増加、長時間労働、賃金格差は依然深刻であり、高知県では若年層や女性の県外流出も課題である。

グローバル化は新たな問題を引き起こし、国際連携の必要性が増している。このような状況下で、メーデーは現代の労働課題解決に向けた力強いメッセージを発信する場となることが求められる。

◯メーデーの期待
今後のメーデーには以下の役割が期待される。

第一に、現代の労働問題への具体的解決策の提示と運動の推進である。非正規雇用労働者の待遇改善、長時間労働の是正、賃金格差解消など、喫緊の課題に対し具体的な政策提言を行い、その実現に向けた運動を組織する必要がある。高知県においては、地域活性化と連携した雇用創出や労働環境向上策を示すことが重要となる。

第二に、労働者の団結強化と連帯意識の高揚である。分断されやすい現代において、メーデーは業種や雇用形態を超えた連帯意識を醸成する貴重な機会となる。オンラインとオフラインを活用し、より多くの労働者が参加しやすい工夫が求められる。

第三に、国際的な労働運動との連携強化である。グローバル化が進む現代において、一国の労働問題は他国と深く関連する。国際機関の動向を注視し、世界中の労働者と連携して、労働者の権利保護と企業の社会的責任実現に向けた取り組みを推進する必要がある。高知県においても、地域に根差しつつグローバルな視点を持つことが重要となる。

第四に、次世代への継承と新たな参加層の開拓である。メーデーの歴史と意義を若い世代に伝え、新たな参加を促す工夫が不可欠である。SNS活用や若者の関心テーマを取り入れた企画により、幅広い層の参加を促し、運動の活性化を図る必要がある。

第五に、社会全体への啓発と理解の促進である。メーデーは労働者の権利だけでなく、公正で持続可能な社会の実現に向けたメッセージを発信する機会である。労働者の視点から社会課題を提起し、企業、政府、一般市民の理解と協力を得るための積極的な情報発信が求められる。

結論として、第96回高知県中央メーデーは、過去を尊重しつつ現代の課題に真摯に向き合い、未来の労働環境をより良くするための新たな一歩となることが期待される。「団結」の精神を再確認し、具体的な行動を通じて、すべての労働者が安心して働き、人間らしい生活を送ることができる社会の実現に向けて、力強く前進していくことを願うものである。